皆様、あけましておめでとうございます。miTokiです。
私自身の近況とかオラトリア15巻試し読みの感想を投稿しなかった理由などは記事の最後にお話するとして…──今回は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア 15』の感想になります。
ダンまち各作品のネタバレを含むのでご注意ください。特にダンまち本編20巻をエピローグまで読んでからお読み頂けると幸いです。また、長文なので珈琲でも飲みながらごゆっくりどうぞ。
全体的なまとめ
「堕ちた精霊を根絶やしにし、あらゆる負の連鎖を断ち切る!──あとはついでに、未到達階層の更新でもしてこようじゃないか」
──さてさて。前回のソード・オラトリア14巻感想の時にも書き、あとがきで大森先生が「次巻からダンジョンアタックを再開する」と語っていたように、今回再び大規模遠征を行う【ロキ・ファミリア】を中心とした派閥連合。今まで『穢れた精霊』の分身体である『精霊の分身』を幾度も討伐してきた彼らは人造迷宮での傷を癒し準備を終え、今回の15巻で遂に『穢れた精霊』の本体を討伐に向かうことになりましたね。
そしてその大規模遠征の結果は本編20巻のエピローグ『Beautiful World』で先んじて明かされたように”遠征は失敗、60階層で連合は壊滅”。──というわけでソード・オラトリア15巻は、そんな絶望的な結末を知った状態で物語を味わう一冊となっております。流石大森先生。人の心がない。
以下、感想を書く前に簡単な今回の流れについてまとめておきます。
①傷を癒し、ファミリアの財布も潤った【ロキ・ファミリア】が大規模遠征再開を目指す。それを知ったギルド…というかロイマンが【ロキ・ファミリア】に『招集令状』を渡し、派閥内外問わず必要なあらゆる戦力を遠征に連れていくことを条件に遠征を許可。これにより複数派閥の連合で遠征に向かうことになる。
②前回の遠征時同様、椿を始めとする【ヘファイストス・ファミリア】の上級鍛冶師と、都市最高治療士の【戦場の聖女】アミッド、そして数人の治療士【ディアンケヒト・ファミリア】が遠征同行を快諾。
③リヴェリアからヘディンへの交渉により、王族の護衛として【フレイヤ・ファミリア】から三人のLv.4のエルフ【強靭な勇士】とLv.6のヘグニが同行。フィンの交渉により、遠征には同行しないが遠征の障害となる49階層階層主の迷宮の孤王 『バロール』の討伐のみオッタルが承諾。
④ベル・クラネルにも遠征への同行を依頼するか【ロキ・ファミリア】が迷っていると、【最超の騎士】レオンが訪れ『竜の谷』にベルを連れていきたいと止められる(本編20巻)。遠征と時期が被ってしまうためベルの不参加を了承。
⑤そのタイミングでロイマン…ギルドの『最硬金属強制徴収』を受け、学区とオラリオの交流が途絶える。その結果オラリオVS学区の代表試合…『都市競技祭典』が開催(本編20巻)。遠征と時期が被るため【ロキ・ファミリア】は代表戦不参加が確定。
⑥そんな情勢をほわーと眺めていたアイズさん。遠征まで一人だけ暇なので、「ベルに、会いに行こう」とメインヒロインの自覚を持つ。ただ久しぶりに会いに行くので、緊張するためジャガ丸くんを食べ豊穣の女主人で紅茶をのみリラックス。そこで働くヘルンさんにペコリと牽制を加えつつ(無自覚)、【ヘスティア・ファミリア】の本拠に訪れるも主神の幼女神に「この天然っ娘め!可愛いな!でも帰れえええええええっ!」と追い返される(ベル本人もお出かけ中)。
⑦「とぼとぼ……」としょんぼり帰っていると、用事を終えて本拠に帰る途中のベルくんと奇跡的に遭遇。”ベルに会いに来た”と伝えると本人ははえー? としている。真っ赤になるベルくんと本編11巻で約束していた訓練を提案。そのまま訓練へ。
⑧ベルと模擬戦をする中、ベルの成長に驚愕。成長に喜びつつも、彼の動きの中に見える他の師匠の気配を感じて不機嫌に。色々あり訓練中に気絶したベルくんを膝枕して介抱。起きたベルと遠征までの二日間、追加の訓練の約束をし、ご機嫌で帰宅。
(同じくご機嫌で帰宅したベルくんは、リリ、リュー、シルに正座させられ詰問(本編20巻))
⑨お風呂前、脱衣所でもご機嫌なアイズの様子を訝しんだレフィーヤに「最低破廉恥白髪頭に訓練でも申し込まれました?」とベルとの約束がバレる。口止めしようと声をかけようとしたところ、数か月ぶりに見た後輩の少女の発育ぶりに戦慄。
⑩次の日、「ベルの先生は、私だよ?」とベルと訓練をするアイズ。その裏で「『都市競技祭典』にでてくれええええ!」とフィンに縋るロイマン。当然断るフィンだが、代わりに希望していた【ヘスティア・ファミリア】のリューと春姫の遠征同行が不可能に(代表戦参加予定と保険のため)。
⑪三日目、遠征当日の早朝、アイズはベルとの訓練を終えて「また、戦おっか」と再び約束をする。ベルに「ちゃんと無事に……帰ってきてください」と見送られて遠征へと向かう。
⑫「──遠征隊、出発!!」とフィンの号令を合図に、【ロキ・ファミリア】を中心とした最強一歩手前の最高峰軍団、派閥連合が遠征へ。
◆ 大規模遠征 前半戦 ◆
⑬ 1-18階層
大所帯による混雑、混乱を避けるため分隊で出発。18階層の安全階層にて再集結し、再び出発。17階層の階層主『ゴライアス』は遠征前、オラトリア13巻にてレフィーヤたちが討伐済みの為素通り。
⑭ 19-40階層
【ロキ・ファミリア】のレフィーヤたちLv.4の二軍メンバーを中心に最速で駆け抜ける(幹部たち主力の力を温存するため)。27階層の階層主『アンフィス・バエナ』は本編14巻にて【ヘスティア・ファミリア】により討伐済み。37階層の階層主『ウダイオス』はLv.7になったフィンとガレスにより討伐済み(その時の小話はオラトリア15巻のアニメイト特典SSにて公開)。
⑮ 41-49階層
ベートたち【ロキ・ファミリア】の幹部たちも戦闘に参加し、進行速度を落とさず駆け抜ける。49階層の階層主『バロール』は次産間隔中の為不在。遠征中に生まれる可能性が高いがオッタルが待機中。
⑯ 50階層
現状最後の安全地帯。ここで待機メンバーと51階層以下への進行メンバーに分かれる。
進行メンバーは【ロキ・ファミリア】の幹部7名とLv.5の椿、リヴェリアの護衛としてヘグニと三人のエルフ、サポーターとして【ロキ・ファミリア】のLv.4からラウル、クルス、アリシア、ナルヴィが参加。サポーター兼遊撃、後方支援でLv.5になったアキとLv.4のレフィーヤが参加。そして絶対的治療士として唯一のLv.2であるアミッドが同行。計19名。
他の待機メンバーは【ロキ・ファミリア】のLv.4シャロンが指揮を担当し、『穢れた精霊』の意思で動く極彩色のモンスター襲撃が予想される根拠地の防衛をする。
他にフィンの用意した保険として、リドやレイたち異端児が隠れて待機。フィンと地上にいるフェルズは互いに眼晶を所持していて連絡が取れる。フィンたちの様子も見れる。ロキもフェルズと共に眼晶を通して、遠征中のフィンたちを見守る。
⑰ 51-59階層
51階層に突入後、前回同様58階層から『ヴァルガング・ドラゴン』による『階層無視』の砲撃が飛んできた後、その穴にガレスを中心とした一部メンバーを予定通り投入。突入メンバーに58階層を制圧してもらい、砲撃の恐れのなくなったフィンたち本隊は正規ルートで悠々と51階層から58階層まで降りてガレスたちと合流。前回『精霊の分身』と交戦した59階層に入り最奥まで進むも極彩色のモンスターの襲撃は一度もなかった。
◆ 大規模遠征 後半戦 ◆
⑱大亀裂
本来なら59階層から60階層までの連絡路である巨大な裂け目。そこには男神と女神が残した情報のような大亀裂はなく、蒼白い肉のような植物で覆われて豹変していた。『穢れた精霊』本体がその奥にいると推察しているフィンの指示により豹変した裂け目に突入し、遂に現れた極彩色のモンスターや『精霊の分身』たちと戦闘を開始。
「暴れるなティオネ。──今から可愛がってやる」
「──ヴッ!?」びくんっ!
『え~い』『よしよし~』(尊厳絶対破壊プール)
「えっ、あっ、リヴェリア様なにをっ……あっだめだめダメですっ、────あ~~~~~~~~~ッ!?」びくんびくんっ!
「その手は もう飽きた」
「ごめん──もらうよ」
◆ 大規模遠征 『穢れた精霊』本体戦 ◆
⑳『精霊の分身』たちを倒し60階層最奥まで進むと、そこにはフィンの読み通り『穢れた精霊』本体がいた。その姿は、天井にぶら下がる『脳』から蛇のような胴体が伸び、四つの角が生えた精霊の上半身がついている。また『脳』の周りには過去に捕食した精霊の顔で塗り固められた人面樹が生えていた。
㉑『穢れた精霊』を討伐しようとするフィン達だったが『穢れた精霊』の”切り札”によりアイズが絶叫し暴走。アイズから発生する暴風により周りにいた冒険者たちも吹き飛ばされ、そこにアイズを捕食しようとする『穢れた精霊』が迫る。
㉒アイズに迫る『穢れた精霊』から彼女を守るために『穢れた精霊』を払いのけアイズに手を伸ばすフィン、ガレス、そしてリヴェリア。しかし手が届く寸前、アイズの悲鳴を聞いた”千蒼の氷園”が発動(?)し、アイズを蒼氷の防壁…氷玉に包んでしまう。
㉓『穢れた精霊』は氷玉ごとアイズを丸吞みし、取り込む。そして冒険者たちを吹き飛ばし、切り刻む”暴風”を発生させる。その後、『穢れた精霊』の肉に覆われた壁や天井から”蒼い肌、蒼い髪の『少女』”を産み落とし続ける。
㉔『少女』達と”暴風”が冒険者達を蹂躙、全滅──の寸前、フィンの【ティル・ナ・ノーグ】による投槍の一撃と、それを受け止める『穢れた精霊』の暴風により60階層の大広間が崩壊、フィンたち第一級冒険者たち11名は下の層へと落下し消息不明。
㉕落下を免れたメンバー…ラウル、クルス、ナルヴィ、アリシア、そして三人のエルフのLv.4の7名は「50階層の待機メンバーと合流しつつ地上に戻り、”援軍”を連れて戻ってくる」というラウルの判断で撤退を選択し、現在いる60階層から待機メンバーの待つ50階層へと向かう。
◆ 大規模遠征 撤退 ◆
㉖59-51階層
行き同様にアクションの無い59階層は無事に戻れたラウル達。しかし58階層からはそうもいかず、通常通り迷宮から生まれ落ちるモンスターと、『穢れた精霊』の配置していた極彩色のモンスターに道を阻まれる。そこに待機していた『漆黒の猛牛』を含むレイたち異端児が決死で退路を確保。異端児たちを犠牲にしながら50階層へと駆け戻る。
㉗50階層の根拠地になんとか帰還するも、複数の『女体型』に襲撃された待機メンバーも半壊状態。ラウルの判断により怪我人含むボロボロの計78人を連れて地上への帰還を目指す。
㉘34階層 【フレイヤ・ファミリア】、最後の強靭な勇士、メルーナが部隊の為に散る。
㉙所要時間は五日間。──【ロキ・ファミリア】より八名、【ヘファイストス・ファミリア】より五名、【ディアンケヒト・ファミリア】より一名、【フレイヤ・ファミリア】より三名、他連合派閥から四名の犠牲者を出しつつ派閥連合、計57人が地上へと生還。
「『遠征』は失敗!『遠征』は失敗っ!! 60階層で、派閥連合は壊滅!!」
「早くっ、応援をっっ!! 仲間がっ、団長達がまだ『深層』に──!!」
㉚ラウルの痛々しい絶叫が神の塔に響く中、レフィーヤたちの前には、一人の『少年』が立っていた──。
ソード・オラトリア 15 END.
このダンまちとかいう作品、面白過ぎねぇか……?
──というわけで、ベルくんが『竜の谷』にて世界の情勢を知っていく裏で起きていた物語『ソード・オラトリア 15』…皆さんどうでしたか?
個人的には『なんで結末を知ってるのにこんなに面白いの?』とか『なんでこんな絶望的で悲しい物語だったのに最後の最後でこんなにワクワクすることができるの?』とか『なんでいつ死んでしまうのかとハラハラしていたのに数ページ後には美少女エルフの失禁コメディになるの?』とか『たった一巻に新情報を詰め込み過ぎだよーッ!!』とか……そんな感じで感情がぐっちゃぐちゃなので、ここからはいつも通りキャラ毎の感想を書いていきますね。
【ロキ・ファミリア】
◆ アイズ・ヴァレンシュタイン ◆
本気出したアイズのヒロインパワー高過ぎないッ!!?
…というワケで、レフィーヤから外伝の主人公を再びバトンタッチしたメインヒロインのアイズさん。自分はここしばらく『ベルくんとアイズの絡みを増やして~!!(泣)』と言い続けてきたんですけど今回のオラトリア15巻では…ベルに会いに行くだけで緊張したり、話しているだけで無意識に唇が笑ってしまったり、あとは『存外に自分は彼に会いたがっていた』とか『秘密の特訓なのにヘスティアに許可取りに行ってしまう天然っぷり』とか…かわいいシーンてんこもりでしたね。
もう可愛すぎるぜアイズさん…しかも遂には『真っ直ぐなベルが、やっぱり好き』特典小説では「そっか……。好きなんだ……」と呟いたりしちゃうし、ベルの動きに『別の人』を感じて女性周りのだらしなさを確信したりとか、マジでヒロインムーブしてた。これにはヘスティアもつい「可愛いな!」とか言っちゃうわけだ…。
そしてそんな我らがメインヒロインは…60階層にて【千蒼の氷園】による蒼氷の防壁に包まれた後、氷ごと『穢れた精霊』に丸呑みにされ文字通り囚われの姫となってしまいました。
【千蒼の氷園】については記事後半の考察でお話するので一旦置いておきつつ、特装版冊子の書き下ろし『アイズ・ヴァレンシュタインは白い君の夢を見るか』によると、現在彼女は『穢れた精霊』の中で、氷の壁に守られながら眠っている…と。少しずつ、蝕むように力を吸われながら……。
ベルくんマジで早く来てくれーー!!!(泣)
◆ フィン・ディムナ ◆
「──【真なる契りを此処に】──」
槍は歌いながら駆ける。それはかつての騎馬を率いし騎士のごとく。
もうさァッ 書籍化しなよ 偉大英雄譚をさァッ!!
お次は【ロキ・ファミリア】の団長、フィン・ディムナ。ベルくんは殿堂入りとさせて頂きつつ、私的ダンまちシリーズ男性キャラランキングでナンバーワン(本編20巻読んでからレオン先生と拮抗中)の団長は今回もめちゃくちゃカッコ良かったですね!!
「やはり滅ぼすに限る」「──今から可愛がってやる」とかの『ご褒美』も最高でしたし、【勇者】である彼が誰よりも『勇気』の危険性を語りつつ、それでも訪れる破滅を前に、槍を持ち、『真勇』を示して叛逆し、信じる後輩に希望を託す──。本当にカッコ良かった…!。あとマジで”それはかつての騎馬を率いし騎士のごとく。”の一文が好きで沢山の人にこのエモさを感じて欲しいからどうか、どうか【ナイツ・オブ・フィアナ】の書籍化をお願い致します。GA文庫様……。
◆ ラウル・ノールド ◆
──やることがある。
最期まで惨めに、貫き通して、やり遂げなければならない責務がある。
『深層』にて奈落の底へ落ちたフィンやアナキティの探索を諦め、崩壊した派閥連合を帰還させた『臆病者』ラウル・ノールド。彼も間違いなく、15巻の主人公の一人でした。
崩壊した60階層。引き返すのか、逃げ出すのか。吐き気を催す二者択一。──戻りたい。迎えにいきたい。あの恐ろしい地獄に舞い戻りたい。彼らは、大切な人たちだから。決まっているだろう!!
「でも、俺達じゃあ団長達を救えない!」
だから、大切な人たちに背を向けて、彼らを救える『希望』を連れて戻ってくるしかない。そんな『保身』をもって、大切な仲間を、認め合えた冒険者を犠牲にして地上へと帰還する。
大森先生はどんだけラウルを追い詰める気なの…??
…というワケで、仲間を失いながらも派閥連合を連れて地上へと帰還したラウル。もう本当に読んでいて辛かったよ!ダンジョンが無慈悲なのもわかる。仲間の為に、誰かが身を擲つのも辛いけどわかる。でも「置いていかないでっっ……!」って言わせるのはあんまりじゃないかなぁ大森先生!!?もうやめて!とっくにラウルと読者のライフはゼロよ!!!
しかもそんな満身創痍の状態で、仲間を見捨てて帰ってきた事を人々に糾弾されてもなお、痛々しくも救援を叫ぶとか……あまりにも過酷過ぎるので、この絶望を乗り越えた先にはラウルにはランクアップしてほしい。
でもアキの尻尾をヨシヨシしようとしていたのは許さない。コ〇ス……。
◆ 他の団員たち ◆
【ロキ・ファミリア】まじで最高過ぎるな……。
まずね、若き日のレオンに『くたばれ生娘ババア!!』と吐き捨てられてブチ切れていたリヴェリア様とか、フィジカルで『”仲間を守る結界”を守る』というワケのわからないガレスとか、死と隣り合わせの深層で『ご褒美!』でギャーギャーやってたりとか面白過ぎて笑っちゃったんですけど、色々含めてマジで【ロキ・ファミリア】全体が最高だった…。
アイズの事を語り合うベートたちのシーンとか本当に好きっ!だってあのベートがティオナ達と思い出話をして笑うんですよ?それで『アイズを護る』と心に誓うんだよ?こんなの泣いちゃうでしょ…本当に【ファミリア】の温かさを感じる良い話だったなぁ。涙が止まらん…!
あとは「私のこと、もっと心配してよ」とラウルに心細そうにしていたアナキティ。うぅ…かわいい、アキめちゃくちゃかわいいです…。彼女に関しては巻末でプロフィールも公開されていて、その内容も最高でした。スキル名【猫恩返】とか可愛過ぎるだろ…ッ!。効果は『好感度一定到達対象接近時、『敏捷』に小補正』と『好感度限界突破対象接近時、『力』『器用』の中補正、『敏捷』の高補正』…つまり好きな人の近くにいると強くなる──。……おまっ!ラウル!!そこ変われ…!!
あ~…知りたい。このスキルが発現した時のアキの反応がめちゃくちゃ知りたい。ロキがニヤニヤしながら「青春やな~」とか言って真っ赤になったアキにボコボコにされてる光景が目に浮かびますよね!今日も【ロキ・ファミリア】は平和です。
あとあと、本編20巻でベルくんが討伐した推定潜在能力Lv.7の竜種『ヴェノムスカイ・センチピード・ドラゴン』に寄生した【精霊の分身】を討伐する展開もよかった!そうだよ、やっぱり【ロキ・ファミリア】はベル・クラネルの先にいる人たちなんだよ。エモ…。
──物語の状況的にはフィン、リヴェリア、ガレス、ベート、そしてアキが負傷しながらも比較的無事。そしてティオナが脇腹に穴、右腕切断、そして眼球が裏返る(うぅ…)。ティオネが身体中を切り裂かれて足をねじられて動かず……。そして連合メンバーではヘグニが比較的無事、椿の肩肉と眼帯が消し飛び、アミッドが意識不明、といった状況でしょうか。
一番心配なのはやっぱりティオナですよね…。右腕切断は確定だし眼球が裏返るって…。アミッドがいるとしてもめちゃくちゃヤバい。しかも大森先生が今回のあとがきで、「『ソード・オラトリア』という物語を最初から読んで、”とある登場人物”を見守ってきた方には、次の巻だけは見届けてほしい」と言ってるのが本当に不穏過ぎる……。確実に誰か一人を指してるし、”見届けて”って言葉選びが本当に怖い…。リヴェリアもやたらと代わりがいるとか描写されてるシーンが多いし…。誰も…もう誰も死なんといて……(泣)
【ロキ・ファミリア】に関しては以上でしょうか。……え?いやいや、私は紳士なのでレフィーヤの胸が成長していることなんて話題には取り上げませんよ。ええ。…ただオラトリア1巻の頃からその伏線はあったことは紳士の皆様にお知らせしておきます。
他ファミリアなど
◆ メルーナ・スレア ◆
「ラウル・ノールド!! 間違っていないぞ!!」
「イェニテの森のエルフ、智を司る妖精が大いなる聖樹に誓って言おう! ──貴様は、間違ってなどいない!!」
メルーナ・スレア…──『イェニテの森』出身のエルフで【フレイヤ・ファミリア】に所属するLv.4の彼女。知識欲が強く、ヘディンにも認められる程に頭脳明晰で研鑽を惜しまない彼女は今回の冒険で、今まで軽蔑していた【ロキ・ファミリア】を認め、彼らの為に身を擲ちました。
その最期の言葉は、先に散った同胞のように憎まれ口でもなく、また忠誠を誓う女神への謝罪でもなく……たった一人、『臆病者』を肯定する言葉でした。…血にまみれて、片腕を失ってもなお、温かい笑みを浮かべながら。
このシーン本当に読んでて辛くて、でもすごく胸が熱くなるんだ……。【アストレア・ファミリア】の時もそうですけど、大森先生は”大切な人の最期”を描写するのがめちゃくちゃ上手いんですよね……。いや私も本当はこんなこと言いたくないし、誰も死んで欲しくないんですけどマジでそうなんですよ。今まで計30巻以上出てるコンテンツで、なんで今回初めて活躍した一人の人間の最期でこんなに感情を揺さぶられるのか本当に謎…。メルーナさん、本当に好き。
◆ 『穢れた精霊』 ◆
──最後は遂に【ロキ・ファミリア】と対面した『穢れた精霊』本体。見た目に関しては、15巻を読む前に表紙を見た時点だと正直ちょっとえっちだな…とかアホなこと考えていたんですけど、読み進めていくと、ばかでかい『脳』とか捕食してきた精霊たちの顔が浮かぶ”人面樹”とか、普通にめちゃくちゃ化け物でドン引きしちゃったよ……。
そんな不気味な身体を持つ『穢れた精霊』の目的は”風の精霊”の力を持つアイズを捕食し、自身の糧とする事──。彼女(?)の目的は、氷玉に包まれたアイズごと丸呑みすることで成功。その結果、冒険者たちに”暴風”を振りかざす、沢山の蒼い『少女』を産み落とすこととなりましたね。
エグ過ぎる……なにがエグいって大量に産み落とされるアイズの姿をした『少女』たちが”喋る”ことなんですよ。さらにはティオナが今回武器を振り落とす手を止めてしまったように、アイズの知る人たちの名前を呼べることも確実。…今後ベルくんがこの『少女』と戦うことになったら『自分の名前を呼ぶ憧憬を何度も殺す』ことになるとかもうさぁ…うえぇ……考えたくもない。
フィンが「悪趣味で、まともじゃない。極めて反吐が出る」と言っていましたけどマジでそう。新しく登場した『蜘蛛型の極彩色モンスター』も対象者の意識を残したまま寄生するとかいうディオニュソスもびっくりするくらい悪趣味な性能だしね……。……いや、やっぱりそれくらいならディオニュソスの方が悪趣味だな。
ただ戦力的には強そうではあるもの、今回の描写的にフィンの【ティル・ナ・ノーグ】が致命傷になるような感じだったのでレオンと、20巻でベルくんが習得した”残光”でなんとかなるレベルな気がするんですよね…。だからやっぱり次巻以降の敵は『少女』がメインになってくるんじゃないかな…?
そして今回、このアイズに似た『少女』が【ロキ・ファミリア】を蹂躙したわけですけど、仮にアイズを取り戻したとしても関係が元通りになるのか不安ですよね……。【ロキ・ファミリア】は”『穢れた精霊』がやったこと”と割り切っても、アイズ自身が自分を許せ無さそう…、犠牲者も沢山でてしまっているし……。マジでツライ…。
ちなみにこの『穢れた精霊』の全体図や『蜘蛛型の極彩色モンスター』の設定画がソード・オラトリア15巻特装版の冊子に収録されており、めちゃわかりやすいです。
次巻以降-考察-
宣言する。
【白光の大火と妖精の咆哮は、破滅を打ち砕き、『逆襲』に打って出る】──。
──というわけで以上、オラトリア15巻のキャラ毎の感想でした。ここからは次巻以降の流れと、今回明かされた情報から色々考察していきたいと思います。
◆ 救出 ◆
まずは次巻以降、必ず行われるであろう【ロキ・ファミリア】救出のメンバーと展開予想から。
とりあえず本編20巻の感想で自分が予想していた『60階層で【ロキ・ファミリア】幹部がほぼ消息不明、誰かの献身でサポーター達を50階層に戻すもLv.5以上がいないメンバーだと帰還困難、それでも怪我しながらなんとか地上へ帰還』説が思っていたよりもドンピシャで合致していてびっくりしているんですけど、『Lv.2のアミッドは流石に50階層の根拠地で待機っしょ!根拠地崩壊は流石に絶望的過ぎるし無いでしょ!(笑)』の予想は自分の想像よりも作者がスパルタで、根拠地もちゃんと崩壊させられていて頭を抱えました。さすが大森先生、容赦がない。
救出メンバーについて自分が本編20巻の感想で予想していたのは【ヘスティア・ファミリア】からベルくんとリューさん、そして加入(仮)中のニイナ・チュール。【ヘルメス・ファミリア】からアスフィとアイシャ、そして【フレイヤ・ファミリア】からヘディン、戦力的にレオン先生が確定……という人選でした。
この予想はまぁ変わってないんですけど、それにプラスして他にもこのメンバーは行くかなぁという人たちが何人も出てきたので追加したメンバー予想がこちら
【ヘスティア・ファミリア】-全員参加(6名)、ニイナ
【フレイヤ・ファミリア】-ヘディン、アレン、ヘイズ、etc
【ヘルメス・ファミリア】-アスフィ、アイシャ
【ミアハ・ファミリア】-ダフネ、カサンドラ
【ガネーシャ・ファミリア】-シャクティ
【ロキ・ファミリア】-ラウル、レフィーヤ、クルス、アリシア、ナルヴィ
【豊穣の女主人】-アーニャ、ルノア、クロエ
【学区】レオン
当初よりだいぶ人数が増えましたがこんな感じ。増えた理由は当初よりも人手が必要な情報が増えたからです。
当初想定していた51階層以降に降りて【ロキ・ファミリア】を捜索するための第二次進行メンバーと、それに加えて50階層で崩壊した根拠地を再び作成、そして防衛する第二次待機メンバーも必要となりました。
◆ 【ヘスティア・ファミリア】 ◆
まずは【ヘスティア・ファミリア】が全員参加、物語的にもこれは確定かな。
進行メンバー:ベルとリューさん、春姫とニイナ
待機メンバー:リリ、ヴェルフ、命
と予想しております。本編20巻で何度も春姫とニイナの魔法の組合──階位昇華とその効果延長を匂わせていることから二人がセットで行動する可能性が高いのでは。ニイナについてはめちゃくちゃ有能治療士なので(本編20巻でLv.5以上のドラゴンのまき散らす【汚染瘴気】を浄化可能)竜種が多い51階層以下には相性抜群ですし、春姫は後述する総合戦力的な意味合いでも進行メンバー側なんじゃないかな…。
待機メンバーのリリ達はLv.2ですが、今回フィンがリリに指揮ブン投げすれば【ヘスティア・ファミリア】くらいならなんとかなるかもなーと考えていた事、今回の遠征で他派閥のLv.2が何人か50階層までは同行していたことから3人くらいならなんとかなる!と予想。展開的には50階層で生まれ落ちることが確認されている『女体型』と極彩色のモンスターの討伐。【ヘスティア・ファミリア】は全員尖ってるから何とかなる。
既に生まれている三体の『女体型』の討伐もあるかもしれませんけど、最悪そこは51階層に向かう前にベルやレオンで討伐できますしね…。個人的には近くにいるオッタルが先に処理してくれてるとありがたいけどその可能性は低そうかなぁ。
◆ 【フレイヤ・ファミリア】 ◆
進行メンバー:ヘディン、アレン
待機メンバー:ヘイズを始めとする【満たす煤者達】とLv.4以上の【強靭な勇士】
別枠:オッタル
ベルにバフを掛けられること、フィンと同レベルの指揮が取れること、誇り高く散ったメルーナ達を募ったこと、行方不明のヘグニに喝を入れに行く役目…などなど他にも沢山の理由からヘディンも進行メンバーで確定、あと個人的にはアレンも同行すると考えています。
流石にメルーナ達を失ったフレイヤ…今はシルさんが、ヘディン以外を救援に同行させない可能性は低いんじゃないかなと考えているので、となると候補としてアレンとガリバー兄弟、あとは拠点防衛に最適なヘイズを中心とした【満たす煤者達】と純粋に極彩色のモンスターと戦える【強靭な勇士】たち。
ただ今回ヘディンが語ったようにシルの守護は絶対確定事項のため、【フレイヤ・ファミリア】のLv.6相当の全員がダンジョンに向かうことはありえない…。じゃあアレンとガリバー兄弟、どっちが残る?と考えた時アレンの方がダンジョンに向かう理由が多いんじゃないかな…?と予想。
一つはこれまでのようにアーニャ含む【豊穣の女主人】の面子が貴重なLv.4として同行しそうなこと。アーニャが行くならなるべく近くで彼女を守るために兄さまが付いて来てくれそう。あとは今回の”竜の壺”攻略の際に縦穴を直行する【ロキ・ファミリア】に対して、強靭な勇士の誰かが「アレン様みたいなことするな」と発言していたことからアレンを先頭に救出メンバーでも似たようなことをするんじゃないかなと。
アレンとベル、レオンとレフィーヤで縦穴突入、それ以外のメンバーはヘディンとリューさんを中心に春姫の魔法でランクアップした状態で正規ルートとかどうでしょうか?これなら行ける気がしません?何回も攻略経験のあるラウルたちもいますし。ガレス枠をレオン、フィン枠がヘディン、リヴェリア枠を【アストレア・レコード】で応用の利くリューさん…。これはイケる…!!
シルさんの護衛に関しては一応近くにミア母さん、そして魅了の使えるヘイズさんもいるし、ガリバー兄弟だけでもなんとかなるはず。
そして、別枠のオッタルは49階層から動かないんじゃないかなと考えています。状況は把握してそうですけど、もし仮にフィン達が自力で上まで戻ってきた場合『バロール』が残ったままだと厄介ですし、救出メンバーが向かう時にも障害となるので…。オッタルとバロールの因縁もあるし、それを乗り越えて今回のベルくん達の冒険が終わったタイミングでLv.8になるのではないでしょうか。
◆ 【他のファミリア】 ◆
他のファミリアからは
進行メンバー:アスフィ、アイシャ
待機メンバー:シャクティ、ダフネ、カサンドラ、アーニャ、ルノア、クロエ
と予想しています。アスフィとアイシャはオラトリア12巻でレフィーヤと共闘経験があること、そしてリューさんとアスフィ、春姫とアイシャのいつもの組み合わせから進行メンバー寄り。待機メンバーは【ヘスティア・ファミリア】と懇意なこと、そして貴重なLv.4以上の戦力としていつもの人選。
シャクティに関しては【ロキ・ファミリア】の古参と仲がいいこと、そして戦闘が予想される『女体型』相手にはやはりLv.5が欲しいことからこちらと判断。あとは黒竜戦前にランクアップする為の経験値稼ぎにも良さそう…。そして50階層付近にいる異端児たちも戦ってくれると思うので、異端児の事情をそれなりに知っているシャクティなら丁度いいのでは…と考えています。
あとはタケの所から桜花、【ロキ・ファミリア】と親交の深いヘルメスの所のルルネなんかも同行するかも?いずれ【タケミカヅチ・ファミリア】に戻る命と、団長の桜花の経験値にあまり差をつけたくないと思うんですよね…。
◆ 【千蒼の氷園】と【アイズ・ヴァレンシュタイン】 ◆
救出メンバー予想は以上で、ここからは考察を一つ。テーマは【千蒼の氷園】と【アイズ・ヴァレンシュタイン】です。
今まで明かされていた【千蒼の氷園】に関する情報をまとめると以下の通り。
本編18巻のフィンとロイマンの会話より
・【千蒼の氷園】から持ち帰られた『凍り付いた短剣』をフィンに提示するロイマン
・それを見たフィンの「”彼女”以外に成果があったのか?」という言葉
・場所は60階層と61階層の『狭間』
・『鍵』が存在しており、探索したゼウスとヘラの眷属達でも見つからなかった。しかしロイマンは「あの”お転婆”がいる【ロキ・ファミリア】なら、『鍵』を見つけられるかもしれん」と発言
・ギルドは詳しい経路、存在する場所の情報を所持。
・氷園の情報は【ロキ・ファミリア】の優先事項で、特にリヴェリアが欲しがっている。
まず一つ目の『”彼女”以外に成果があったのか?』の彼女。これは間違いなくアイズのことでしょう。出自に謎が多いアイズ・ヴァレンシュタイン。
アイズはアストレア・レコード2章”正義失墜”の306ページで、当時のアイズを見たアルフィアから「例のダンジョンの娘」と言われています。その時のやりとりを要約したものが以下の通りです。
・「例のダンジョンの娘か?」
・「どんな方法を使ったかは知らんが、ゼウスでもヘラでもなく【ロキ・ファミリア】が手に入れたか。ウラノスが救界を諦めぬわけだ」
・「それでこの『宝』をお前たちはどうする?『生贄』にでも使うのか?」
・それを聞いたリヴェリアが激昂。
そしてオラトリア9巻で、【ロキ・ファミリア】に来たばかりのアイズに関する描写がこちら。
少女は泣いていた。最初は灰色の空を仰いで、次は連れ戻された部屋の中で蹲りながら。何度も呼びかけてくれる人たちの声も聞こえない。いくら少女が泣いても世界は変わらない、愛する人々は抱きしめてくれない、かけがえのない幸せは戻ってこなかった。
母親の「貴方も素敵な相手に出会えるといいね」。父親の「いつかお前だけの『英雄』にめぐり逢えるといいな」の言葉。少女を助けてくれる『英雄』など、最初からいなかった。それを理解した時、心が凍てついた。溶けない永遠の氷壁で覆われた。
そして、涙も枯れ果てた頃、少女は人形へ。「私は、力が欲しい」。
──それが『剣姫』の生まれた瞬間。
そして、同じくオラトリア9巻で語られたアイズの昔話がこちら。
今から9年前、色々あって【ロキ・ファミリア】がアイズを保護することになった冬の日の事。
当時七歳のアイズに懇願されたロキが彼女に恩恵を刻み【ロキ・ファミリア】へ入団。リヴェリアに連れられ冒険者登録も済ます。登録用紙に名前を書く時に【神聖文字】で記入しようとする。
その後、冒険者としてダンジョンに入ったアイズ。その時のモノローグが『この空気を知っている。もっと幼い頃に迷い込んだことがある』。モンスターを倒すも乳歯が抜ける。
アイズの教育係になったリヴェリア。アイズに勉強をさせる。その時のアイズのリヴェリアへの印象が『高圧的で、口うるさい。アイズの知りあいのエルフにも似たような人がいた。二、三年前(アイズ4-5歳頃)に説教されて泣かされた。』リヴェリアに反抗するアイズ「……の方が、ずっと綺麗だった。 おばさん!」キレたリヴェリアから拳骨をもらうアイズ。『その姿は父親が「めっちゃ強い」と言っていた『迷宮の孤王』…!』
和気あいあいと宴会をする【ロキ・ファミリア】を見て『強引に酒を進めれて困り顔になる父親と、踊るその仲間たち。それを笑って見ている母親とアイズ』
黒竜の鱗を信仰する村で、必死に怒りを抑えるアイズ
初めて自身の魔法【目覚めよ】を開放、その風を感じて『「お母さんの……風」母親の優しい息吹、精霊の風』と描写
現代のアイズの「待ってて……お母さん。必ず貴方を取り戻すから」
そして他にアイズに関連する話題が以下になります。
リヴェリアがティオナたちに語った「アイズには精霊の血が流れている」
母親の名前は『アリア』。この名前は『迷宮神聖譚』に登場する風の精霊『アリア』と同名。
アイズが本編15巻で『迷宮神聖譚』や御伽噺で語り継がれる『英雄アルバート』の墓に花を手向けるのをベルが目撃。ベルが祖父ゼウスから貰った英雄譚の原典では『英雄アルバートは傭兵王ヴァルトシュテイン』と記載されていた。
『迷宮神聖譚』最終章では『英雄アルバート』が命と引き換えに『黒竜』の片眼を奪い、オラリオの地から北へと遠ざけた。逃げた『黒竜』は傷を癒すための栄養…餌として、地上に存在する竜種を呼び集める。『黒竜』の元に全ての竜種が集まった瞬間、大精霊はその身を捧げ『精霊の嵐』を使い『黒竜』と『竜種』を『風印』した。その北の地は現代で『竜の谷』と呼ばれている──(本編20巻より)
この封印されている『三大冒険者依頼』の最後である『黒竜』を今から15年前にゼウスとヘラのファミリアが討伐に挑むも失敗し壊滅。19巻で『黒竜』のことを『俺達が対峙しなければならない終末』と語る。
長くなりましたが、以上が今まで公開されていた氷園とアイズの情報でした。
そして今回のオラトリア15巻で示唆された情報が以下になります。
リヴェリアたちの手を阻み、アイズを足元から包む『絶対零度の氷壁』。
リヴェリアが感じた『氷壁』からでる『異質』で『懐かしい魔力』
それを見たロキやフィンたちの「【千蒼の氷園】!?」という発言。
捜していた『鍵』である『妖聖の杖』が起動し、『意思なき防衛機能』がアイズの涙を感じ取り、彼女を『全ての存在から護ろう』と60階層の下から『氷壁』を展開。
それを見たリヴェリアが『初めて自身の血を呪う』ように『始祖の聖女ァ!』と叫ぶ。
──以上の情報全てを踏まえた上での私の考察がこちら。
『英雄アルバート』と『風の精霊アリア』の間に生まれた『アイズ』。アイズは五歳頃まで父と母、そしてその仲間である人たちと古きオラリオで幸せに過ごす。古きオラリオにも変わらず迷宮が存在し、アイズが迷い込んだこともある。父アルバートは迷宮に潜りモンスターを倒し、生活をする傭兵(現在の冒険者)だった。
アイズが七歳の頃、『黒竜』がオラリオに接近。父アルバートが命と引き換えに黒竜を退ける。母である風の精霊アリアも黒竜を封印する為、追って北へ。しかし幼いアイズを一人にするわけにもいかず、友人の王族…『【始祖の聖女】セルディア』に託す。
セルディアは仲間ともに『黒竜を倒すことのできる”何か”』と小さいアイズを連れてダンジョンに避難。しかしそれでも危機に陥り、アイズを護るため辺り一帯に自身の魔法【千蒼の氷園】を掛ける。魔法の効果は『対象を氷壁で凍結』『守護対象を氷壁による自動防衛』。魔法の解除には魔法を発動し続ける鍵──『妖聖の杖』か、セルディアと同じ『王族が持つ魔力』が必要。アイズは氷の中で眠りにつく。
そして現代より数十年前【ゼウス・ファミリア】が探索中【千蒼の氷園】を見つけ、なんらかの方法で『氷漬けのアイズ』を地上へ持ち帰る。しかし『鍵』がないため氷は解けないままだった。
その後【ゼウス・ファミリア】【ヘラ・ファミリア】がそれぞれ氷園を探索、経路や場所は記録できたが『鍵』も見つからず、氷壁の中にある『黒竜を倒すことのできる”何か”』も持ち出せず、唯一『凍りついた短剣』だけを持ち帰る。
そして今から九年前の冬、王族の魔力を持つリヴェリアと凍ったアイズが接触。氷壁が解ける。
眠りから覚めたアイズは冬の空の下で泣き、母のいる北へ向かおうとするも連れ戻される。ウラノスの判断で当時から最強派閥だった【ロキ・ファミリア】がアイズを保護。
アイズから過去の出来事…セルディアの事などを聞いた【ロキ・ファミリア】はアイズの為に、リヴェリアを中心に氷園の情報を求める。そして現在へ──。
──こんな感じではないでしょうか…?
『【始祖の聖女】セルディア』はオラトリア5巻でベルくんが【ロキ・ファミリア】に語ったアルバートの英雄譚(おそらく原典)で、「英雄アルバートの仲間には”アマゾネスの女帝”イヴェルダと”ハイエルフの王女セルディア”がいた。」と語っている彼女の事でしょう(5巻P138)。世界を救うためにエルフの里を旅だった王女セルディア。彼女にはリシェーナという妹がいて、現代のハイエルフ…リヴェリアはそのリシェーナの末裔に当たります。
アイズの言う『リヴェリアに似た、アイズの知りあいのエルフ』を『【始祖の聖女】セルディア』と仮定して、そのセルディアは王族であるハイエルフ……これで自身の血、『王族の血』を呪い、セルディアの名を叫んだリヴェリアの描写が綺麗に繋がると思うんですよね。そして【ロキ・ファミリア】が持っていて、ゼウスやヘラが持っていない、方法もわからないもの……それって『王族』に関する”何か”じゃない??
じゃあその”何か”って?と考えた時にセルディアと共に書かれた『懐かしい魔力』という描写。懐かしいというのは『過去に感じたことがあるけど、最近は近くになかった』ということですから、昔…9年前にアイズの凍りが解けた時にもリヴェリアが感じた、氷壁の魔力のことなんじゃないかと思った次第です。うーん…普通に血液とかかもしれないけど。
また、ロイマンの「あの”お転婆”がいる【ロキ・ファミリア】なら」という発言も一見アイズの事を指してるようにも読み取れるけど、本編20巻四章で『お転婆な王女は告げた』と、リヴェリアのことを大森先生は”お転婆”と表現しています。これも「ハイエルフがいる【ロキ・ファミリア】なら」って意味なんじゃないかなぁ。
それと、一房とはいえリヴェリアと同じ翡翠の髪を持つ彼女の従者…アイナ・リンドールの娘であるニイナが【ヘスティア・ファミリア】に加入(仮)したのも、ベル君が”氷園”にたどり着いた時に”なにか”を起こすためなのかも。と考えています。
──『黒竜を倒すことのできる”何か”』についてはアイズがいることで、ウラノスが救界を諦めていないといったアルフィアの発言と『凍りついた短剣』から想像。アイズの他にも、凍りついた武器がある……例えば、英雄アルバートが『黒竜の片眼を傷付けた武器』とか──。まぁでも、わかりやすく『アルバートと精霊アリアの血を引くアイズなら、黒竜を倒しうるかもしれない』という可能性の方が高いかなぁ。
……とりあえず一つ確証を持って言えるのは、アイズを見て「『生贄』にでも使うのか?w(母親のアリアのように)」とかいう下界最大級のブラックジョークをかますアルフィアさんマジやべぇってことです。これにはベルくんもドン引きだよ…。
すこし…若干……いや、冷静になってみるとかなり飛躍した感じもしますが、考察としてはこんな感じです。別に当たってても外れてても楽しめるから問題ないんですけどね…!
◆ まとめ ◆
──以上、ここまでの考察をもとに考えた今後ありそうな展開がこちら。
・本編21巻-22巻がベル君視点中心の救出メンバーによるダンジョンアタック。【ロキ・ファミリア】の救出と『穢れた精霊』からアイズを助け出す。
・オラトリア16巻がレフィーヤ視点の救出メンバーによるダンジョンアタックを軽く見せつつ、メインは落下したフィンたちの決死行…。個人的には『鍵』が起動した【千蒼の氷園】の探索と、フィンやリヴェリアの語るアイズとの出会い、過去の話がメインで、次の17巻で【ロキ・ファミリア】がベルと共にアイズを助け出す。
アイズの回想に関しては上の考察のような感じ、そして今後のベル君の冒険は【英雄譚 アルゴノゥト】のオマージュのような展開になるでは…?
【英雄譚アルゴノゥト】は「この世界を照らす、一筋の希望──『英雄』が必要だ。世界がこの眠れる獅子、アルゴノゥトを求めている!」と青年アルゴノゥトが奮い立ち、ハーフエルフの義妹フィーナを連れ王都を訪れる。そこで出会った仲間と共に、王都の地下迷宮に囚われているお姫様、王女アリアドネを助け出すため、化け物を『雷の恩恵』を纏い打ち倒す──。こんな感じの物語。
ほらー!!本編19.20巻の内容が”アルゴノゥト”とやたらとかみ合ってるんですよ!!…いや「”アルゴノゥト”はダンまちの原典なんだからかみ合うのは当たり前だろ」という皆様のその鋭いご指摘…わがります。でもちょっと待って下さい。
”この世界を照らす”もの…つまり『光』。そして眠れる『獅子』のキーワード。20巻のエピローグでベル君が授かった新しい二つ名は【獅兎の光】。(レグルス・アルネの意味については20巻感想でお話しているので割愛)…ほらほら近づいてきましたよ!そして19.20巻で大活躍だった妹ハーフエルフ、ニイナちゃん。
【獅兎の光】ベル・クラネルが、”妹ハーフエルフ”ニイナ、そして前世の妹フィーナにそっくりなレフィーヤと共に囚われの姫、アイズを救い出す…。ここまで来たら、その時、ベルくんは『雷』を纏うのでは……?そういえばベルに『雷』を付与できる人が一人だけいましたね…?【永奏せよ、不滅の聖女──ラウルス・ヒルド】。
そしてあとは”アルゴノゥト”のラスボス『ミノタウロス』。これもやっぱり登場するんじゃないかな…?ここまで”アルゴノゥト”に寄せているのに、ラスボスの彼が物語に関わらないなんてことはないでしょう。今回の15巻で異端児達だけでなく、わざわざ『漆黒の猛牛』も描写した事……。そして20巻のあとがきで大森先生が『次回から最終章に突入』と言っていることから、ベルとミノタウロスの再戦は今回の冒険で描かれると思います。
あとは細かい所だと今回、椿が”お守り”としてレフィーヤたちに配っていた不壊属性のナイフ。蜘蛛型を倒す時にアキとラウルが使っていましたけど、これは”ベルくん用”でもあるんじゃないかなぁ。ヘスティア・ナイフは大丈夫だろうけど、今後戦闘が予想される極彩色のモンスターと戦う時に”白幻”を使ってるといつか溶けちゃうかもしれないので、レフィーヤのナイフをベルが受け取る→それを使ってアイズを助ける!のような展開はアツいと思います。
といった感じの妄想です。たぶん当たってないけどめちゃくちゃ楽しみだ~!!
終わりに
──ということで、今回の感想はここまで。本当に長々と失礼致しました。
こんな読み辛いものをここまで読んで頂き本当にありがとうございます……!
余談ですが冒頭で述べた通り、皆様に謝罪を一つ……。本当は本編20巻の時のように試し読みの感想から書かせていただく予定だったオラトリア15巻ですが、年末年始に人生初コロナに掛かり寝たきりの生活が続き書くことができませんでした。ごめーん!!
現在はなんとか、体調は戻っております。改めて皆様、今年も宜しくお願い致します。
次の感想はなにになるんでしょう……?ダンまちに何か新しい動きがあれば書くとは思うけど……一応、今年2025年2月27日にダンまちのコンシューマーゲーム『水と光のフルランド』が発売予定でプレイするつもりだけど、ノベルゲーなら兎も角、アクションRPGの感想は書いたことがないからなぁ……。
うーん…書けたら書くッ!行けたら行く、くらいのつもりでお待ち下さいませ(それ書かないやつじゃん!)
…とまぁそんな感じで、改めて今回はここまで。
大森先生はいむら先生関係者皆々様、今回もやべぇ一冊をありがとうございました!そして読んでくださった皆様もありがとう!記事の感想もありがとう!!モチベです!!
ではまたいつかー!!
……5期アニメの続きは2月8日ABEMA配信!お忘れなくッ!!
執筆中BGM:少年(GRe4N BOYZ)
コメント
お身体大変な中ご感想ありがとうございました凄く充実した内容でした。
私の感想としては…想像以上に歯痒くロキファミリア幹部勢や撤退に尽力したゼノスの皆も心配で…ですがオッタルがやられる訳なくラウルが…見上げた覚悟を示した姿に感動し最後の一文を信じあとがきを見る限りまだ希望はある…と。
他にもTSUTAYA特典で炉の女神に借りを作らねばならない…の言葉通り外伝12巻でレフィーヤを奮起させたと同様、ベルにアイズの過去を明らかにし彼に彼女の英雄になる覚悟を決めさせる展開になる事も期待、彼女を救い出すのは間違いなく彼の残光…英雄の一撃でしょうから。アタックメンバーについても同意です、特にヘスティアファミリアは主戦力以外にもデミスピリットと渡り合える一芸を持ち合わせてますしヴェルフの魔力暴発、命の重力結界、春姫のブースト、ニイナの回復+付与魔法、フィンが不在ヘディンは前線よりとなる為指揮を取るリリも必要…緊迫した展開が続いた以上ホッと出来る結末に…あとがきの内容が自分の考えている展開なら救出されたアイズがベルに自分が待ち望んだ英雄の姿を浮かべて欲しい…今回も楽しかったですありがとうございました。
コメントありがとうございます!救出されたアイズが自分の『英雄』を見つけるシーンは”ダンまち”の中でも間違いなく特に気合いの入った描写になると思うので自分もめちゃくちゃ楽しみにしております…!遂に恋心気付いちゃうかもナ~!!
コメント下さりありがとうございます。書いている時は忘れておりましたが…無論嫌な予感もしますがオラトリア15巻でも「宣言する。破滅は免れない…」の後にあの混沌がやって来ましたが巻末に「宣言する。白光の大火と妖精の咆哮は、破滅を打ち砕き、逆襲に打って出る」ともありこの借りはしっかりと返してくれると信じ…Xでの先生のネタバレで「ベルが酷い目に遭います」の言葉通り彼が限界を越え続ける限り希望を齎すと信じます。余談ですが万事上手く行った暁には前回コメントした掌編集と併せ原作3巻の彼女との初の稽古の昼寝の一幕の一文「呪いをかけられ、何百年も年をとらず眠りにつく、独りのお姫様。彼女の英雄が現れるまでずっと目を覚さない、永遠の眠り姫」の伏線が回収される最高の条件でもありますね。再度ネタバレ込みの長文失礼しました。
アナキティの略称がアナなのが気になる…
コメントありがとうございます!一応修正しておきました~!
眼球が裏返るってグロ表現だったんですね…
普通に白眼向いて失神?したんだと思ってました。
コメントありがとうございます!
どっちだろう…笑
ダンまち好きとして心より尊敬する感想記事でした
アレなんだっけなっていう所を わかりやすくまとめて補足してくれて助かるし
考察なんかも的を得てて楽しめました
次巻の感想も楽しみにしてます
コメントありがとうございます!
感無量です…!次巻以降も楽しんで頂けるようにがんばります!
なんというダンまち愛